コラム

教育資金贈与|使い切れない場合は課税対象になることを制度の概要や注意点と合わせて解説

教育資金を贈与することで、贈与税や相続税の節税対策を考えている方は多いでしょう。ただ贈与が課税対象になってしまうケースもあります。

この記事では、教育資金贈与の1,500万円の非課税枠について、使い切れない場合は課税対象になることを解説します。あわせて制度の概要や改正に伴う注意点等についても触れるため、ぜひ参考にしてください。

教育資金贈与として贈られたお金を使い切れない場合どうなるか

教育資金贈与として贈られたお金が使い切れない場合、残額は課税対象です。残額を受け取ることは可能ですが、状況によって贈与税や相続税を支払う必要があります。

贈与税はかかるケースとかからないケースとがあるため、ここでは使い切れずに残ったらどうなるかをケースごとに分けて詳しく解説します。

教育資金贈与とは

教育資金贈与とは、子や孫に対して教育資金を贈与する際の税制特例です。本来は何らかの資金を子や孫に贈与すると、贈与税がかかります。しかし、教育資金贈与の場合、1,500万円までの枠内で贈与税が非課税になります。

この特例制度は平成25年に創設されました。正式には「教育資金の一括贈与の非課税制度」と呼ばれています。期間限定の制度として発足しましたが、本記事の執筆時点では、令和3年改正により令和5年3月31日まで期間延長されています。

(参考)教育資金贈与信託とは

教育資金贈与をする方法のひとつとして、教育資金贈与信託があります。教育資金贈与信託は、信託銀行等に30歳未満の子や孫の教育資金を預けて管理を委託し、1,500万円まで非課税で贈与できるという制度です。

以下、本記事の解説においては、教育資金贈与信託についてもあわせて記載している箇所があります。

教育資金贈与の残額に対し贈与税がかかる場合

教育資金贈与制度に関する詳しい制度内容は、国税庁ホームページをあわせて参照してください。ここでは、教育資金贈与の残額に対して贈与税がかかる場合か、反対に贈与税がかからない場合について、それぞれ解説します。

※出典:国税庁 「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」及び、同(令和3年5月)版のパンフレット

【贈与税がかかる場合】

贈与税のなかで、実際に教育資金として使い切れなかった金額に関しては、教育資金ではない通常の贈与があったとみなされるため、贈与税の課税対象となります。

実際に贈与税がかかるのは、以下3つのケースです。

・受贈者(資金を贈られる側)が学校等を卒業している場合

・受贈者が30歳に達し、教育資金口座契約が終了した場合

・受贈者が30歳に達した時点で、受贈者、贈与者が共に生存している場合

贈与税の税率と計算方法

教育資金の残金に対して、贈与税の金額例や税率がどれくらいかを見てみましょう。

まずは残金から基礎控除額である110万円を引いて課税対象額を導きます。この金額に対して贈与税がかかります。

受贈者が18歳を過ぎていれば、特例税率が適用されるため、例えば、課税対象額が200万円以下ならば贈与税は10%の20万円となります。

18歳以上の者(子・孫など)が直系尊属(祖父母や父母など)から贈与を受けた場合の税率

基礎控除後の課税対象額

税率

控除額

200万円以下

10%

-

400万円以下

15%

10万円

600万円以下

20%

30万円

1,000万円以下

30%

90万円

1,500万円以下

40%

190万円

【贈与税がかからない場合】

教育資金口座契約の契約期間中に贈与者が死亡した場合は贈与税がかかりませんが、残金は相続税の対象とみなされます。ただし、受贈者が23歳未満であるなどの条件下では、相続等に該当しません。

一方、教育資金口座契約の契約終了前に受贈者が亡くなってしまった場合は、贈与税の課税価格として算入される金額はありません。このことは国税局のパンフレットに明記されています。

教育資金贈与のお金を使い切れなかった場合の注意点

使い切れない場合、多額の税金を納付することになる可能性がある

教育資金贈与は、受贈者が30歳を迎える口座契約終了までに全額を使い切れば課税されません。ただし、贈与されたお金を「大切なものだから」と使わずにとっておいてしまうと、多額の納税義務が生じる可能性があります。使い切れない場合も贈与者に返金できないため注意が必要です。

残金は基礎控除額の110万円以下であれば非課税ですが、超えた分は贈与税が発生します。贈与税を払えば、残りは自由に使えます。

認められている用途以外で使うと税金がかかる

教育資金口座契約の契約終了時には、残額のほかに教育資金以外で使った金額にも贈与税がかかります。使い切れなさそうだからといって使おうとする際に注意が必要です。

使い道はかなり限られます。「教育資金と思って使っていたが、間違っていた」とならないよう、口座がある金融機関や国税庁のホームぺージなどで確認してから使いましょう。

教育資金として認められるもの・認められないものの例

国税庁のパンフレットにも記載されている、教育資金として「認められるか、認められないか」の範囲を紹介します。

たとえば、留学の場合、渡航費は教育資金として認められますが、海外での滞在先がどのような教育機関かによって認められない場合もあり範囲は限定されています。また、受贈者が23歳誕生日翌日を迎えると、一般的な習い事への支払いは認められなくなります。

1,500万円の枠内で塾や習い事への支払いに充当できるのは総額500万円までとなっていることにも注意が必要です。

教育資金贈与(信託)のメリット

一般の贈与と比べた場合のメリット

教育資金贈与のメリットは、「1,500万円を一括で、非課税で贈与できる」という点です。

一般の贈与では、控除額110万円を越える金額に多くの贈与税がかかります。もし一括で1,500万円万円を贈与しようとすると、贈与税は約600万円に及びます。

同じ金額を教育資金として贈与する場合、1,500万円を非課税で丸々受け取れることになるため、大きなメリットといえるでしょう。

贈与したい(贈与された)教育資金を他の用途で使ってしまうリスクが少ない

信託の仕組みを利用すれば、教育資金口座から資金を引き出す際に領収書が必要になります。必然的に資金は正しく管理され、教育資金以外の別用途で使われてしまうリスクが少ないため安心です。

使い方次第では、相続税対策にも役立つ

教育資金贈与を行うことで、遺産となる資産額を抑えられ、相続税対策に役立つことがあります。ただ相続税よりも贈与税の方が税率は高めになるため、教育資金が残ることには注意が必要です。

教育資金贈与(信託)のデメリット

教育資金贈与は、払い出し手続きに領収書等の提出が必要になるため手間がかかります。また、教育資金として認められるかどうかには細かいルールも設けられており、判断が難しいこともデメリットでしょう。

使い切れない場合は課税対象になってしまうため、最初から使いきれそうな金額に抑えたほうがいい場合もあります。

教育資金贈与を利用する際の注意点

教育資金贈与には、使い切れなかった際の注意点以外にも注意事項があります。ここでは、注意点について解説します。

令和3年度税制改正による変更点に注意する

令和3年度、税制改正によって、教育資金贈与の適用期限は令和5年3月31日までに延長されました。また、相続税課税についての変更も行われています。贈与者が死亡した時、教育資金口座の残高が原則として相続税の課税対象となり、相続税が課税されるという点に注意が必要です。

贈与者が先に死亡した場合に注意が必要

税制改正前は、教育資金の一括贈与が贈与者の死亡よりも3年以上前に行われていれば、教育資金の残額に対する相続税は非課税とされていました。ところが改正後は、教育資金贈与の時期にかかわらず、贈与者の亡くなった日に口座に残された残額に対して相続税が発生するようになったのです。

この場合、孫やひ孫に相続税が課税される場合は、相続税の2割加算が適用されます(子には適用なし)。ただし、以下のいずれかの条件に該当する場合は課税対象外になります。

・受贈者が23歳未満

・学校等に在学中

・教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している

資金を使う際、認められる用途かどうか注意する

教育資金贈与によるお金は、用途が非常に限られています。定められた用途以外の出費は教育資金として認められないため、使い方によく注意しましょう。

教育資金以外に使った分については、贈与税が課せられます。さらに領収書がない場合も、教育資金として認められないため注意が必要です。

他の贈与税に関する制度の活用も検討してみる

教育資金贈与が難しいと感じた場合は、他の贈与税に関する制度の活用も検討してみましょう。たとえば扶養義務者から都度必要に応じて支払われる生活費や教育費は、もともと非課税です。

また、教育資金ではない、一般的な贈与税として暦年課税制度があります。暦年課税とは、年間110万円の基礎控除額を除いた残りの金額に対して贈与税が課される制度です。

生前贈与に対しては、相続時精算課税制度もあります。これは贈与者が生前、1人に対して2,500万円まで非課税で贈与できる制度です。諸条件があり完全に非課税というわけではありません。

詳しくは国税庁のホームページで内容を確認できますので、参照してください。

※出典:贈与と税金 国税庁

まとめ

教育資金贈与は使い切れない場合に課税対象となることもあり、贈与の方法や金額に注意が必要です。教育資金贈与を使いこなすためには、教育資金口座契約をおこなう金融機関と綿密に連携を取ることをおすすめします。

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