コラム

専業主婦がiDeCo(イデコ)に入るメリット・注意点やつみたてNISAとの違いも解説

2017年から専業主婦もiDeCoに加入できるようになりました。所得控除を受けられない専業主婦は加入しても意味がないのでは、と思っている人もいるでしょう。

この記事では、専業主婦がiDeCoに加入するメリット・デメリット、注意点、金融機関の選び方などを解説します。「つみたてNISA」との比較や2020年の法改正にも触れているため、ぜひ参考にしてください。

専業主婦もiDeCo加入が可能に

2017年1月からiDeCoの対象範囲が広がりました。

2017年まで

・自営業者など(国民年金第1号被保険者)

・企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入できない会社員(国民年金第2号被保険者)

2017年から

上記に加えて

・規約や条件を満たす会社員と公務員(国民年金第2号被保険者)

・会社員・公務員の配偶者(国民年金第3号被保険者)

第3号被保険者の専業主婦(夫)もiDeCo加入が可能です。

※以下、専業主婦(夫)を専業主婦と表記します。

個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」とは

個人型確定拠出年金とは、個人で拠出したお金で受け取る年金のことです。iDeCo(イデコ)は制度の名称です。加入者は自分で掛金を支払って好きな金融商品を運用し、60歳以降に運用益と元本を給付金として受け取ります。

加入条件

20歳以上60歳未満(企業型DC加入者は規約・条件を満たす場合のみ)

拠出額(掛金)

・下限:月額5,000円

・上限:被保険者種別などの条件で異なる

投資先

定期預金、保険、投資信託

給付金の受取方法

60歳以降69歳までの間に、

・一時金として受け取る(一括)

・年金として受け取る(分割)

専業主婦(夫)の掛金額の上限は?

専業主婦が拠出できる掛金の上限は、月額2万3,000円、年額27万6,000円です。

iDeCoは、毎月払いに加えて年払いや分割払いにも対応しています。まとめ払いには手数料を抑えられるなどのメリットもありますが、定期的に定額を投資する、ドルコスト平均法ができない分リスクは上がります。

iDeCo加入者は3年間で約112万人の増加

iDeCoの加入者数は、2021年4月時点で198万279人です。85万3,723人だった2018年3月時点と比べると、約112万人も増加しました。全体の8割以上を会社員・公務員の加入者が占めている点が大きな特徴です。

一方、専業主婦の加入者も、2万3,198人から7万7,284人へと約3倍に増えています。

※参考:業務状況|ライブラリ|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】

専業主婦がiDeCoに加入するメリット

専業主婦がiDeCoに加入するメリットを解説します。

自分名義の資産を作れる

専業主婦にとって自分名義の老後資金が作れる点は大きな魅力です。もし離婚になった場合でも、iDeCoは財産分与の対象になりません。復職した場合は、資金を企業型DCに引き継げる場合があります。

運用益が非課税

一般的な投資では運用益の20%程度を税金として支払う必要がありますが、iDeCoの運用益は全額非課税です。運用益を元本に加えて再投資できるため、複利効果も得られます。

受け取り時(分割)に「公的年金等控除」が受けられる

分割で受け取る給付金は「雑所得」扱いとなり、所得税の対象です。ただし、「公的年金等控除」(所得控除)が使えるため、下記のとおり課税対象の所得(課税所得)が減ります。

課税所得=収入-経費-所得控除

控除額は年齢や収入によって異なり、65歳未満なら年額60万円まで非課税、65歳以上なら年額120万円まで非課税です。

給付金と公的年金を同時に受給すると、合計額が控除額を上回って税金が発生する場合があります。課税を避けたい場合は、受給時期をずらすなどの方法を検討しましょう。

受け取り時(一括)に「退職所得控除」が適用される

給付金を一括で受け取る場合は、「退職所得」として扱われます。所得税の対象ですが、専業主婦もiDeCoの加入年数に応じて「退職所得控除」が使えます。控除額は以下のとおりです。

・加入年数20年以下:40万円×加入年数

・加入年数20年超:800万円+70万円×(加入年数-20年)

つまり、控除額は、加入年数が15年なら600万円、加入年数が25年なら1,150万円です。無収入の専業主婦でも、この金額を超えた額を受け取るときは税金がかかります。

復職時に積立額を引き継げる

企業型DCがある企業に復職する場合は、iDeCoの資金を企業型DCに引き継げます。iDeCoとの同時加入が認められているなら、iDeCoにも拠出可能です。就職先に企業型DCがない場合は、iDeCoを継続利用できます。

専業主婦がiDeCoに加入するデメリット

専業主婦がiDeCoに加入するデメリットを解説します。

原則60歳までは受給できない

iDeCoは、専業主婦に限らず加入者のすべてが原則的に60歳まで脱退できません。確実に老後資金が作れる点はメリットですが、掛金として支払ったお金は60歳まで引き出せないため、注意しましょう。

所得控除のメリットが受けられない

iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となるという点に大きなメリットがあります。しかし、所得税を支払っていない専業主婦は所得控除のメリットを享受できません。ただし、復職した場合は所得控除の恩恵が得られます。

収入次第で主婦も所得控除の対象となる

パートなどで給与所得を得ている場合、年収が103万円(基礎控除38万円+給与控除65万円)を超えると所得税や住民税が発生します。iDeCoを利用している人は所得控除の対象となるため、103万円を超えて働いても掛金の範囲内なら税金がかかりません。

たとえば、主婦でもパートで年収120万円を得ている場合、iDeCoで年額17万円を拠出すれば非課税となり、引き続き扶養に入れます。

iDeCoを始めるときの注意点と金融機関の選び方

iDeCoを始めるなら、金融機関でiDeCo口座を開設する必要があります。ここでは、金融機関の選び方や注意点を解説します。

iDeCoは口座開設/管理手数料がかかる

もっとも注意したいポイントは、口座開設や運用に以下のような手数料がかかることです。

【加入・移換時手数料】

一律2,829円

iDeCoを運営する国民年金基金連合会に支払う手数料です。iDeCoへの加入時や企業型DCへお金を移す際には必ず発生します。金融機関の手数料が加算される場合もあります。

【その他の口座管理手数料】

手数料

支払先

金額

資産管理手数料

信託銀行

月額66円

事務手数料

国民年金基金連合会

拠出のたびに105円

運営管理手数料

金融機関

金融機関によって異なる

給付事務手数料

信託銀行

給付金を受け取るたびに1回440円

還付手数料

国民年金基金連合会、信託銀行

限度額を超えて拠出した場合などで還付を受けるたびに1回1,488円

※税込み、2021年7月時点

運営管理手数料が無料の金融機関を選ぶ

専業主婦には、運営管理手数料が無料の金融機関がおすすめです。拠出が少額で手数料が高い場合は、手数料が運用益を上回る可能性が高いためです。運営管理機関手数料が無料なら、リスクを回避しやすい毎月払いのランニングコストは月額171円(66円+105円)で済みます。

ただし、171円×12カ月=年額2,052円は必ず発生します。サービス内容は金融機関によって異なるため、しっかり比較検討して自分に適したサービスを選びましょう。

加入すべきかは配偶者の状況を見て判断しよう

専業主婦がiDeCoに加入すべきかどうかは、配偶者の状況でも変わってきます。家計の余剰資金を有効利用したいなら、所得のある配偶者がiDeCoに加入するほうが所得控除を使える分だけ得です。配偶者がiDeCoに加入しているかどうかや控除の利用状況も考慮して、加入を判断しましょう。

専業主婦は「つみたてNISA」がおすすめ?iDeCoとの比較

専業主婦が資産運用を始めるなら、「つみたてNISA」がおすすめです。ここでは、iDeCoと「つみたてNISA」を比較しながら、おすすめの理由を解説します。

つみたてNISAとは

つみたてNISAとは、政府が支援する少額投資非課税制度の一種です。少額から長期・積立・分散投資ができる点が魅力で、運用益は非課税です。ただし、NISAとの併用はできません。

つみたてNISAの特徴は以下のとおりです。

・利用できる人:日本に住む20歳以上の人

・非課税対象:投資信託の運用で得られる分配金・譲渡益

・非課税投資枠:新規投資額で毎年40万円

・投資可能期間:最長20年間

・投資対象:金融庁の基準を満たす投資信託

iDeCoとの違い・専業主婦が始めるメリット

iDeCoとつみたてNISAの主な違いは、以下のとおりです。

iDeCo

つみたてNISA

資金の引き出し

60歳まで原則不可

随時可能

投資の上限

27万6,000円(専業主婦の場合)

40万円

投資対象

定期預金、保険、投資信託

主に投資信託

税制上のメリット

・掛金が所得控除の対象

・運用益が非課税

・給付金受取時に控除適用

分配金・譲渡益が非課税

専業主婦はiDeCoの所得控除の恩恵を受けられず、掛金は配偶者に頼る必要があります。

一方、つみたてNISAなら100円や1,000円からの投資や、ポイント投資が可能です。いつでもお金を引き出せる点や、誰でも年間40万円まで非課税で投資でき、iDeCoよりも上限額が高いところもおすすめできるポイントでしょう。

法改正で変わるiDeCoの加入可能年齢拡大や加入要件緩和とは?

確定拠出年金法の2020年改正を受けて、iDeCoでは加入可能年齢の拡大や加入要件の緩和が順次実施される見込みです(2021年7月時点)。主な変更点は以下のとおりです。

時期

概要

2021年1月~

オンライン申込が可能

2022年4月

受給開始時期の上限を70歳から75歳に引き上げ

2022年5月

加入可能年齢を60歳未満から65歳未満に引き上げ

2022年10月

企業型DC加入者の加入要件を緩和

これまで、企業型DC加入者のiDeCo加入には一定の条件がありました。2022年からは基本的に誰でもiDeCoに加入可能です。国民年金の加入資格を失う60歳以上の専業主婦も、国民年金に任意加入している期間はiDeCoを継続利用できます。

まとめ

iDeCoは老後資金を作るうえでは便利な仕組みです。ただし、自由に積立金を引き出せないなど、デメリットも少なくありません。とくに、もともと所得税がない専業主婦は所得控除を利用できないため、加入前にしっかり知識を吸収して後悔のない選択をしてください。iDeCoに関してよく知りたい人は、初心者向けのセミナーがおすすめです。

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