コラム

年金で生活はできるのか

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高齢化が進展していますが、特に2025年は団塊の世代が後期高齢者に仲間入りするという日本にとっては2025年問題と言われるほど大きな課題の年と言われています。では現状年金収入で実際に生活ができるのかどうかについて考えていきたいと思います。

この記事では、年金がなくて不安を感じている人に向けて、老後資金として必要な金額を解説します。具体的な対策についても解説するため、ぜひ役立ててください。

年金の基礎知識

日本の年金制度は国民皆年金制度で全員が加入することになっています。公的年金は大きく分けますと、
全員加入の国民年金と会社員などが加入する厚生年金に分かれています。さらに上乗せの年金制度として自営業者の場合は国民年金基金や付加年金制度、会社員などの場合は企業年金や確定拠出年金制度があります。
国民年金は20歳から60歳までの40年間加入することで、65歳から老齢基礎年金が年額779,300円(平成30年度)支給されます。また厚生年金は働き始めた時から70歳まで加入することが可能で、原則65歳から老齢厚生年金の支給が始まります。老齢厚生年金の支給額の基になるのは簡単に言いますと標準報酬月額(給与に準じた額)と標準賞与額(賞与支給相当額)となり、累計の給与水準で年金額も変わります。また厚生年金保険料は労使折半なので会社員の方は自営業者より優遇されていると言えます。

老後の生活費にかかる内訳

「2017年度の総務省家計調査データでは、「高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみ)の月平均の消費的支出は235,477円で、これに「非消費的支出の税・保険料28,240円を加えますと263,717円です。また「高齢単身無職世帯(60歳以上)の月平均消費支出は142,198円でこれに「税・保険料の12,544円を加えますと154,742円です。それぞれの内訳は以下のとおりです。

項    目高齢夫婦無職世帯
2017年月平均額(円)
高齢単身無職世帯
2017年月平均額(円)
備    考




食料 64,444 35,418
住居 13,656 14,538
光熱・水道 19,267 12,989
家具・家事用品 9,405 6,098
被服および履物 6,497 3,808
保健医療 15,512 7,936
交通・通信 27,576 13,148
教育 15 0
教養娯楽 25,077 16,852
その他消費支出 54,028 31,412 雑費・交際費(夫婦27,388、単身17,528)・仕送り金
非消費的支出 28,240 12,544 税・社会保険料
合計 263,717 154,742

「総務省2017年家計調査データ」より作成

特徴としては、高齢夫婦無職世帯の教養娯楽費や交際費が消費的支出のそれぞれ10.6%、11.6%、高齢単身無職世帯の同支出が11.8%、12.3%といずれも1割を超えています。高齢になっても旺盛な教養・趣味活動やスポーツクラブに通うなど頭と身体の健康意識面の高さの現れと言えます。また交際費の中では香典などの費用の支出が増えていく世代と言えます。

年金っていくらもらえるのか

「総務省の2017年家計調査のデータでは、「高齢夫婦無職世帯の収入は209,198円でそのうち「社会保障給付が191,880円とあり、この分がほぼ年金収入と言えます。また「高齢単身無職世帯の収入は114,027円でそのうち「社会保障給付が107,171円です。
「厚生労働省が2018年1月に公表した2018年度の老齢厚生年金を新規に受給する人の標準的な年金額は、「夫婦2人分の老齢基礎年金を含んで221,277円です。これらのデータが年金収入のひとつの目安となります。また50歳以上の方は日本年金機構の年金の試算や年金定期便で将来の年金額がわかるようになっていますのでそちらを参考にされれば現実の年金額に近いものが把握できます。

年金で生活できる人とできない人の違い

「総務省の2017年家計調査データによりますと、「高齢夫婦無職世帯の家計収支は209,198円の収入に対して「263,717円の支出があり54,519円の赤字で、何らかの形で資産を食いつぶしている状態です。「高齢単身世帯も同様で40,715円の赤字状態です。高齢世帯の生活は4万から5万の赤字が毎月発生していて、年金の範囲内で生活していくのが実情では難しそうです。
ところで、世の中には年金収入の範囲内で暮らしている方もいらっしゃいます。できるだけ年金の範囲内で生活していくためのポイントをいくつか挙げてみます。
まず、最大のポイントが給与生活から年金生活に入った時です。人は生活の質を落とすことについて、とても難しい傾向が見られます。年金生活に入った時には、場合によっては退職金も十分あるかも知れませんので、ついつい今までとおりの生活を続けてしまい、気づいたら退職金も資産も思いのほか減ってしまっていた例がよくあります。
次のポイントは、年金は2カ月に1回の後払いシステムになっています。この2ヵ月分がまとめて支給されるのも注意が必要です。2か月分の金額が大きいので、ついつい最初の1カ月に遣い過ぎてしまう傾向が見られます。そうすると2か月目は資産の食いつぶしにつながりかねません。意識して1か月分に分けて生活する工夫が必要です。意識しても難しい人は一定残高に達すると資金を移動する貯蓄預金のスイングサービスの活用など何らかの工夫をされて1か月分の生活費ごとに分けることが必要です。
また、義理を欠ける人になることも必要です。家計費に占める交際費の割合が高いと書きましたが、高齢になって知人・友人の葬儀にすべて参列していては、身体もお金も持たなくなることになりかねません。ここは本当に義理を果たすべきか見極めが必要です。
最後に、健康を保てる人も年金で生活していく重要な要素です。高額療養費制度や高額介護サービス費制度など負担を軽減する社会保障制度がありますが、それでも自己負担が発生します。できるだけ健康を保てる身体作りが必要で、その観点からいきますと総務省の家計調査の傾向から読み取られるように趣味・娯楽費用が高いのも一理あるお金の遣い方と言えます。

今後の年金問題

今後の年金問題としては公的年金制度の維持をベースに検討課題が挙げられています。
「平成29年12月21日経済財政諮問会議資料によりますと、「経済・財政再生計画改革工程表での年金に関する項目では、短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の更なる拡大や高齢期における職業生活の多様性に応じた一人ひとりの状況を踏まえた年金受給の在り方、高所得者の年金給付の在り方を含めた年金制度の所得再分配機能の在り方および公的年金等控除を含めた年金課税の在り方の見直しなどが挙げられています。誌面の都合で詳細は省略いたしますが、いずれにしても年金制度適用者の拡大と年金受給制度に税制度をからめて全体で抑制する方向の内容になっています。現在すでに受給されている方およびこれから年金を受給する方にも非常に重要な問題ですので、制度改革情報には注視していくことが大切です。

まとめ

現状年金の範囲内での生活はなかなか難しいと言えます。一定額の資産を貯めて、そこから取り崩していく形で老後の年金生活をしていくのが現実的な対応方法になります。したがって、準備としては早めに行うことが必要ですし、ライフプランそのものを計画的にしっかり考えておくことが重要です。

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