コラム

老後資金の目標額は5,000万円・必要とする理由、おすすめの貯蓄法を解説

老後の生活を支える柱の一つは、公的年金です。しかし、公的年金のみでは老後資金が不十分だと考える人は少なくありません。

この記事では、年金に関心がある人や老後に不安を感じている人に向けて、年金収入のみでは老後の生活費が不足する理由を解説します。不足を補う方法にも触れているため、ぜひ参考にしてください。

老後資金とは

老後資金とは、老後の生活を賄うための資金です。一般的に老後とは、退職して給与などの収入がなくなり、公的年金や預貯金などで生計を立てるようになる時期のことです。老後資金の目安は、下記の式で算出できます。

老後資金の目安=毎月の生活費×12カ月×老後の年数

以下で、式の各項を詳しく解説します。

老後における毎月の生活費

生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を送るために必要だと考える生活費の平均月額は、以下のとおりです。

・老後に最低必要な日常生活費:22.1万円

・ゆとりある老後生活費:36.1万円

「ゆとり」には、以下のような項目が含まれます。

・旅行やレジャー

・趣味や教養

・身内とのつきあい

※参考:「令和元年度 生活保障に関する調査」| 生命保険文化センター

老後資金を使う年数

生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、老後資金を使い始める年齢の平均は65.9歳です。

一方、厚生労働省の「令和元年 簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は以下のとおりです。

・男性:81.41歳

・女性:87.45歳

・平均:84.43歳

84.43歳-65.9歳=約19年が、老後資金を使う年数に該当します。

※参考:「令和元年度 生活保障に関する調査」| 生命保険文化センター

※参考:「令和元年 簡易生命表の概況」| 厚生労働省

老後資金の目安

老後資金の目安を、「毎月の生活費×12カ月×老後の年数」の式を使って算出します。

【最低限の日常生活】

22.1万円×12カ月×19年=5,039万円

【ゆとりある老後生活】

36.1万円×12カ月×19年=8,231万円

老後の生計を維持するためには、5,000~8,000万円程度の老後資金が必要です。

老後資金として最大で5,000万円が必要

ここからは、年金収入だけでは最大5,000万円の老後資金が不足する理由を解説します。

老後の主な収入は年金

厚生労働省の「令和元年 国民生活基礎調査」によると、所得のすべてを公的年金が占める高齢者世帯の割合は48.4%です。

所得の8割を公的年金が占める高齢者世帯も12.5%存在し、両者を合算すると60.9%に上ります。高齢者世帯の約6割が、主に公的年金で生計を立てている状況です。

※参考:令和元年 国民生活基礎調査 | 厚生労働省

年金支給額

公的年金は2階建て構造です。

区分

種類

加入者

2階部分

厚生年金

会社員や公務員など

1階部分

国民年金

20歳以上60歳未満のすべての人

年金額や受給できる年金の種類は、働き方によって変わります。

・自営業者や農業者、専業主婦など:国民年金

・会社員や公務員など:国民年金+厚生年金

例)夫婦が受け取る平均年金月額

厚生労働省の「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」によると、年金月額の平均は以下のとおりです。

男性

女性

厚生年金

164,770円

103,159円

国民年金

58,866円

53,699円

夫婦が受給できる平均年金月額を、以下に記載します。

平均年金月額

自営業

専業主婦

112,565円

会社員

会社員

267,929円

会社員

専業主婦

218,469円

※参考:令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報 | 厚生労働省

ゆとりある生活に必要な老後資金

ゆとりある生活に必要な老後資金は、8,231万円でした。この数字から公的年金を19年間受給した場合の年金額を差し引いて、不足する老後資金の額を割り出します。

19年間の受取額

不足額

自営業

専業主婦

2,566万円

▲5,665万円

会社員

会社員

6,108万円

▲2,123万円

会社員

専業主婦

4,981万円

▲3,250万円

老後の所得が夫の国民年金のみだった場合は、年金以外に5,000万円以上の老後資金が必要です。

老後生活における支出

老後生活で発生する主な支出の種類を解説します。

医療費

65歳以降は医療費が大幅に増えるため、備えが欠かせません。厚生労働省の資料によると、65歳以上で発生する医療費の総額は生涯医療費の6割弱に達します。

医療費の自己負担分は、原則的に70歳未満が3割、70~74歳が2割、75歳以上は1割です。ただし、将来的には増える可能性もあります。差額ベッド代や先進医療費用などは全額自己負担です。

※参考:医療保険に関する基礎資料 | 厚生労働省

住居費

住居費は、生きていれば必ずかかる費用です。マイホームの住宅ローンを完済した後も、以下のような費用は発生します。

・一戸建て:固定資産税、維持・修繕費など

・マンション:固定資産税、管理費、修繕積立金など

賃貸物件に住む場合は家賃や更新料、高齢者施設を利用する場合は入居時一時金、施設利用料、介護費用などがかかります。

交際費

高齢者世帯では、孫や子どもへのプレゼントやお祝いが交際費の大きな割合を占めるケースも少なくありません。総務省統計局の資料によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、消費支出の8.8%(月額約2万円)を交際費が占めています。

結婚・出産・進級・進学・就職の祝い金、住宅購入支援などの支出が想定されるなら、その資金も用意しなければなりません。

※参考:家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年) | 総務省統計局

介護費用

下記のような介護保険サービスを利用する際には、1~3割の自己負担が発生します。

居宅サービス

訪問介護、福祉用具のレンタル、住宅改修費補助など

施設サービス

介護施設への入所

地域密着型サービス

認知症対応型サービス、夜間対応型サービスなど

要介護度の区分や所得によって自己負担割合や給付額の上限が異なるため、あらかじめ調べておくと安心です。

老後資金の準備におすすめの貯蓄法

老後資金の準備におすすめの貯蓄法とメリット・デメリットを解説します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で年金を作れる制度です。iDeCo口座に毎月掛け金を拠出して、自分で金融商品を運用します。原則的に60歳まで資金を引き出せないため、確実に老後資金を作りたい人におすすめです。

20歳以上60歳未満の自営業者や専業主婦、条件を満たす会社員・公務員などが加入できます(2021年9月時点)。

メリット・デメリット

iDeCoのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

【メリット】

・掛け金が全額所得控除の対象、運用益は非課税

・月額5,000円から投資可能

・受取方法は、一括受取、年金受取、一括+年金の3種類

・受取時に所得控除が使える

【デメリット】

・元本が保証されない商品がある

・口座維持に手数料がかかる

つみたてNISA(少額投資非課税制度)

つみたてNISAは、少額投資非課税制度の一種です。1,000円などの少額から定期的に投資信託を買い付けて積み立てできますが、投資対象は金融庁の基準を満たす金融商品に限られます。

分配金や譲渡益は毎年40万円まで非課税となり、最長20年間の運用が可能です。金融商品のラインアップや手数料は、金融機関ごとに異なります。

メリット・デメリット

つみたてNISAのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

【メリット】

・運用益に税金がかからない

・非課税期間が長い

・いつでも換金できる

・初心者でも少額から投資できる

【デメリット】

・投資対象が限定的

・損失を他の投資で得た利益と相殺できない

・非課税枠の繰り越しができない

・一般NISAと併用できない

財形貯蓄

財形貯蓄は、給与や賞与から一定額を天引きして積み立てる仕組みで、下記の3種類があります。勤務先に財形貯蓄制度がある場合は、積極的に利用しましょう。

種類

利用目的

対象者

積立期間

一般財形貯蓄

制限なし

従業員

原則3年以上

財形住宅貯蓄

住宅用資金

満55歳未満の従業員

原則5年以上

財形年金貯蓄

老後資金

メリット・デメリット

財形貯蓄のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

【メリット】

・確実な貯蓄ができる

・住宅+年金の元本550万円までは利子などが非課税

・年金は非課税で受け取れる

【デメリット】

・勤務先に制度がなければ利用できない

・転職先に制度がない場合や退職時は解約扱いになり、利子などに税金がかかる

個人年金保険

生命保険会社などが提供する年金型の金融商品です。保険料を積み立てて老後に年金として受け取る仕組みで、以下の2種類があります。一括受取も選べます。

変額年金

年金額が変動する

・契約者が運用

・最低保証がない

・運用次第で年金額が増える

定額年金

年金額が決まっている

・保険会社が運用

・インフレに弱い

メリット・デメリット

個人年金保険のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

【メリット】

・保険料は個人年金保険料控除の対象となり、所得税と住民税が安くなる

・払込期間や受給開始時期を自分で決められる

【デメリット】

・途中解約すると元本割れする可能性がある

・受け取った年金は課税対象

・契約者と受取人が同一ではない場合、贈与税がかかる

まとめ

ゆとりある老後を送るためには、年金以外に数千万円の老後資金が必要です。ただし、実際の年金額は人によって異なります。ねんきん定期便などで正確な金額を確認して、老後資金が不十分だと思った人は早めに準備を始めましょう。

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