投資の中では、株式投資をされている人が多くいます。知るぽると(金融広報委員会)の2018年「家計の金融行動に関する世論調査」では、保有している金融資産のうち11.1%が株式投資というデータが公表されています。そこで株式の仕組みや運用について解説します。
株式は、会社を経営していくにあたって、投資家から活動資金を集めるために発行されるものです。株式を保有した投資家は、その会社が利益を上げれば、その利益の一部を配当金として受け取ります。東京証券取引所のような市場で取引されている株式であれば、売買することも可能です。また、株式を保有することでその会社の株主総会での議決権を保有します。
株式を取引することで以下の利益を受けることが可能です。
1)売買益(キャピタルゲイン)...保有している会社の株価が購入価額より高くなった時に、売却することで売却益を得ることができます。
2)配当金(インカムゲイン)...保有している株式の会社の決算期ごとに利益が出ている場合は、株主に対して配当金が支払われることがあります。
3)株主優待...会社によっては、株主に対して運営している店舗で使える割引券の配布や、自社商品の配布などの株主に対しての優待制度があります。
株の魅力はタイミングがよければ、売却益と配当金の両方を得られることです。売却益は、株価が安い時に購入して、高い時に売却すれば当然売却益が多くなります。しかし、株価は刻々と変動し、何時が一番低くて、何時が一番高いのかを見分けるとことは不可能に近いので、投資指標を活用して判断するのも一つの方法です。配当金は、決算期ごとに払われるので、業績が安定的によい会社であれば、配当金も定期的に安定して受け取れますし、業績がさらに向上すれば、受取配当金も多くなります。
世の中には株に関する様々な情報が出ていますが、取捨選択が初心者には難しいのも事実なので、ここでは、ごく基本的な内容をお伝えして、慣れてきたらご自身で株の情報を取捨選択してノウハウを身につけていく方法をおすすめします。
会社の業績判断には、投資指標を利用します。代表的な指標は以下のとおりです。
1)配当利回り...1株当たりの配当金の株価に対する割合で、配当利回りが大きいほどその会社の株は魅力的になります。
2)配当性向...配当金の利益に対する割合で、利益に対してどの程度配当が実施されているかを測る指標です。
3)株価収益率(PER)...株価の1株当たりの利益に対する割合で、同業他社と比較して低ければ割安、高ければ割高といえます。
4)株価純資産倍率(PBR)...株価の1株当たりの純資産に対する割合で、同業他社と比較して低ければ割安、高ければ割高といえます。
5)自己資本利益率(ROE)...株式資本(自己資本)を元手にどれだけ利益を上げてくれたかを見る指標で、ROEが高い会社ほど資本を効率的に使って利益を上げてくれる投資価値の高い会社と言えます。
これらの指標は、株式の総合サイトなどで簡単に検索できるようになっているので、手軽に活用できます。
株式は魅力のある投資商品ですが、以下のようなリスクがあるので注意が必要です。
1)価格変動リスク...株価変動の要因となるものは、会社の業績、景気動向、為替動向、政治動向、および国際状況などが挙げられ、複雑に絡んで株価は変動します。
2)会社の倒産リスク...株式を保有している会社が倒産すると保有している株式が無価値となる可能性があります。
3)流動性のリスク...すぐにお金に換えたいと思っても売却できないこともあります。人気がない、業績が悪いなどの理由で需要が少ない会社の株式の場合は、なおさら売却しにくくなります。
代表的なリスクを挙げましたが、このようなリスクがあることを認識した上で株式投資をされることが大切です。
株式の種類には、普通株式、優先株式、後配(劣後)株式の3種類がありますが、証券会社で一般的に取引されているのが普通株式です。優先株式は、配当金支払いや残余財産の分配を優先する代わりに議決権がない株式です。後配(劣後)株式は配当を受ける権利や残余財産の分配の権利が普通株式を持つ株主よりも後になる株式ですが、いずれも一般的な株式を取引する投資家には関係がないと言えます。
株式が取引される市場の種類には、東京・名古屋証券取引所では一部・二部があり、一部市場に上場するには厳しい審査基準があります。これ以外の市場には、ジャスダック、マザーズがありますが、比較的新しい会社が多いと言えます。
1)証券口座開設
有名企業などが上場している上場株式を取引するには、証券会社で取引口座を開設することから始めます。取引口座の開設には証券会社の店頭で申込する方法と、ネットから申込む方法の2つがあります。いずれも個人番号(マイナンバー)と運転免許証などの身分を証明するものが必要です。併せて、配当金や株式を売った時の譲渡所得の課税の取扱いをどのようにするかも決めます。課税方法には、総合課税、源泉分離課税、申告不要の3種類があります。
2)株式の売買
上場している会社の株式を売買するには、単元株(株を購入する単位)ごとに、証券会社に、指値(さしね:購入価格を決めてしまう)か成行(なりゆき:購入価格はこだわらない)で注文を出します。売買が成約する順は成行注文優先になります。購入・売却代金の決済は4営業日目になります。購入可能単価ですが、1単元株で数万円から購入は可能ですが、株価の高い会社の株式は1単元でも百万単位のものもあります。市場では、一般投資家が購入しやすい単価になるように単元株の単位を下げる傾向が見られます。
では、高額な株式は購入できないかと言いますと、購入する方法があります。一つは株式ミニ投資制度で単元株の10分の1単位で株式の購入ができます。もう一つは、株式累積投資制度(るいとう)で、積立型株式投資のイメージで、1万円単位から株式の購入が可能です。いずれも配当金は株式の購入に回されます。
株式投資は、会社の情報がいろいろな形で開示されていて、さまざまな投資指標のデータも取りやすくなっています。上記の基本指標以外にもいろいろな視点の指標があるので、研究を深めていけば、ご自身に合った指標を見つけて資産形成に役立てることができます。
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