コラム

年金をもらいながら働ける「在職老齢年金」の金額は?基礎知識や計算方法など解説

年金支給年齢の引き上げや、人生100年時代の到来など日本の今後の老後生活の常識が変化し始めています。そういった時代の変化のなか、年金をもらうようになっても、できれば働き続けたいと考える人もいるでしょう。

この記事では、「在職老齢年金」についてわかりやすく解説します。年金をもらいながら働く場合、受給する金額は変わるのか、具体的な金額や仕組みなどを詳しく解説するので参考にしてください。

年金をもらいながら働く場合に注意したい年金の減額や停止

老後のことを考えお金を少しでも長く稼ぎたい人や、生きがいのために年金受給開始の65歳以降も働き続ける人は少なくありません。その場合、給与額に応じて年金が減額される制度「在宅老齢年金」があります。どういった制度なのか詳しく解説していきます。

在職老齢年金とは?

在職老齢年金は60歳以上で会社員として勤務している人が対象で、その給与額に応じて年金が減額される制度です。在職老齢年金で減額の対象となるものは老齢厚生年金のみとなります。

年金は退職したのち収入を失った人のための制度であるため、現役で働いている世代と変わらない収入を得ている場合は必要のないものです。そこで在職老齢年金制度で年金受給世代と保険料を納める世代のバランスをとるという目的があります。

60歳以上も働く場合の「高年齢雇用継続給付」について

高齢雇用継続給付は、60歳で定年を迎えたあとも継続して働く人の賃金の低下を補うための制度です。また、高年齢雇用継続給付には「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職基本給付金」の2種類があり、いずれも以下の要件すべてを満たしている必要があります。

1. 雇用保険に5年以上加入している

2. 60歳以上、65歳未満である

3. 月額賃金が60歳到達時の75%未満に低下している

給付金の額に関しては、賃金の低下率によって変動する部分もありますが、原則としていずれも60歳以降に払われた月額賃金の15%が上限になります。

高年齢雇用継続基本給付金

高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以降で失業手当を受け取っていない人が受給できる給付金です。つまり、60歳になった時点でそれまで勤めている会社で継続して雇用されるか、一度退職したのち、失業保険をもらわずに再就職した場合の制度になります。

高年齢再就職給付金

高年齢再就職給付金は、60歳以降で失業保険の一部を受給中に再就職する人がもらえる給付金です。上記で挙げた3つの条件を満たしたうえで、失業手当の日数が100日以上あることが給付の要件になります。

例えば、一度退職をした後、60歳以降で失業保険を受給中(残日数が100日以上)に再度就職することになった人などは高年齢再就職給付を受け取ることができます。

働きながら年金を受給すると支給額が減るしくみ

働きながら受給できる在職老齢年金について解説しましたが、そのしくみはどのようなものなのでしょうか。

老齢厚生年金が支給停止になる

在職老齢年金は、年金を受けていても70歳未満は厚生年金保険に加入することで支給停止の対象となります。例えば、企業に勤めながら厚生年金に加入していた場合は支給停止の扱いとなります。

また、働きながら年金を受給する場合と高年齢雇用継続給付を受け取る場合によって支給停止の条件は異なります。

働きながら年金を受給する場合

働きながら年金を受給する場合は、基本月額と総報酬月額相当額に応じて年金の一部もしくは全部が支給停止となります。また、60歳以上65歳未満、65歳以上かによっても異なります。

具体的な支給停止額の計算方法は後述します。

高年齢雇用継続給付を受け取る場合

高年齢雇用継続給付を受け取る場合は、在職老齢年金に加え0.35%から最高で標準報酬月額の6%の年金が支給停止になります。

通常、60歳を超えると老齢厚生年金や企業年金が支給されますが、高齢雇用継続給付を受ける場合は減額されることがあるのです。賃金の低下率によって減額の割合は変わるので、注意しましょう。

そもそも受給できる老齢厚生年金額の概算方法

在職老齢年金は老齢厚生年金額が調整される制度ですが、そもそも受給できる老齢厚生年金はどのくらいなのでしょうか。概算方法を解説します。

老齢厚生年金受給者の場合

老齢厚生年金の概算については60歳~64歳の区分と65歳以上の区分によって、計算方法が異なります。下記の概算方法を参考にしてください。

60~64歳

定額部分(1)+報酬比例部分(2)+加給年金(3)

65歳以上

報酬比例部分(2)+加給年金(3)

(1)定額部分 (1,676円~3,143円)×(被保険者期間の月数)×0.968

(2)報酬比例部分 [(平均標準報酬月額)×(10/1000~7.5/1000)×(平成15年3月までの被保険者期間の月数)+ (平均標準報酬額)×(7.692/1000~5.769/1000※)×(平成15年4月以後の被保険者期間の月数)]×1.031×0.968 ※単価・乗率は生年月日により異なります。

(3)加給年金 (定額部分が加算される場合に限ります。)

・配偶者 224,000円 ・第1子および第2子 224,000円

・第3子以降 各 74,600円 加給年金の支給要件は次のとおりです。

1 本人の厚生年金加入期間が20年以上(40歳(女性は35歳)以後15年以上)

2 配偶者の厚生年金加入期間が20年未満であること。

3 配偶者が65歳未満で生計維持関係にあること。

4 配偶者の年収が850万未満であること。

なお、子ども(18歳の誕生日の属する年度の年度末を経過していない子、20歳未満で1級または2級の障害者)がいる場合、人数に応じて加算されます。

※参考:第4章 年金の支給要件と年金額|厚生労働省

退職共済年金受給者の場合

一方、退職共済年金は以下のようになっています。

厚生年金相当額+職域加算額+経過的加算額+(加給年金額)

経過的加算額の算出方法は以下のようになっています。

経過的加算額=定額の額-老齢基礎年金の額

※参考:本来支給の退職共済年金 | 年金 | KKR-国家公務員共済組合連合会

在職老齢年金の計算方法

ここでは在職老齢年金の計算方法について解説します。

60歳以上65歳未満の場合

60歳以上65歳未満の在職老齢年金の計算方法は以下のようになります。

基本月額(加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生(退職共済)年金の月額)+総報酬月額相当額((その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12)以上の合計が28万円以下の場合は全額支給となります。

上記以外の総報酬月額相当額と基本月額のバランスによる4つの方法も併せてご紹介します。

【計算方法1】総報酬月額相当額が47万円以下で基本月額が28万円以下の場合

基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2

【計算方法2】総報酬月額相当額が47万円以下で基本月額が28万円超の場合

基本月額-総報酬月額相当額÷2

【計算方法3】総報酬月額相当額が47万円超で基本月額が28万円以下の場合

基本月額-{(47万円+基本月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}

【計算方法4】総報酬月額相当額が47万円超で基本月額が28万円超の場合

基本月額-{47万円÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}

65歳以上の場合

65歳以上の在職老齢年金の計算方法を紹介します。

基本月額+総報酬月額相当額の合計が47万円以下の場合は全額支給となります。

基本月額+総報酬月額相当額の合計が47万円以上の場合は「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2」です。

働きながら年金を満額受給する方法

働きながら年金を満額受給する方法はあるのでしょうか。ここではその方法を解説します。

【60歳~65歳】収入+年金が28万円以内になるよう調整する

60歳から65歳までの場合、収入と年金を毎月28万円以下に抑えることができれば、年金を満額受給することが可能です。その際、65歳よりも前に繰り上げで年金を受給する場合は、受け取れる年金が減少してしまうので注意しましょう。

【65歳~】収入+年金が47万円以内になるよう調整する

65歳以上の場合、収入と年金を47万円以下に抑えることができれば、満額受給することが可能です。その際、年金を繰り下げて需給を行う場合は、支給停止となった年金には増減率が適応されないので注意が必要です。

業務委託で働く

そもそも在職老齢年金は会社員に適用されるものです。つまり、会社員ではなく業務委託などで働くことで老齢厚生年金を満額受給することが可能です。勤務先に業務委託での勤務が可能か確認しておきましょう。

まとめ

在職老齢年金制度や高年齢雇用継続給付などを利用することで、60歳以降でも年金や給付をもらいながら働くことができます。どの制度が自身の生き方にあっているか早めに考えておくことが大切です。間もなく60歳を迎える世代だけでなく、若い世代も老後のお金に対してどう向き合っていくか考えることが大切です。

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